あっちこっち®ふきん物語【第二話】


前回は、「あっちこっち®ふきん」のもともとの生地である「テイジン®ハイレーク®」が生まれるまでのお話を聞きました。
なかなか業績が上がらないという大変な事態になったわけですが、その後、どうしたんでしょうか?
業績が下がったからといって、そこで引き下がるテイジンではありません。
開発した生地の品質の良さは、誰もが認めるものでしたから。
「ここまで細い繊維でできている生地は他にない」
「繊維に鋭角な断面を出せているのは、テイジンの技術あってこそ」
と開発者の誰もが自信を持っていたんです。
なんとかしなければと、みんなが考えていました。
そうですよね。私が聞いていても、もったいないと思ってしまいます。
ここで、当時の担当者に特命がくだったんです。
「他の製品として展開せよ」と。
他の製品ってどういうことですか?
それまでは、ファッション業界に向けた
テキスタイル事業としてのみの販売だったんです。
それをファッションという枠を取り外して、
他の製品として事業を展開するように、という特命だったのです。
なるほど。でも、それはなかなか難しそうですね。


当時の担当者も
「ファッション向けに開発されたものを何に使えばいいのか?」
とすごく悩んだそうです。
そこで、相談に行ったのが、マイクロファイバーの開発に携わっていた
「福井合繊織物(※現ネオテックス)」という織布会社でした。
ここで、何度も話し合いをしたそうです。
コートやジャケットに使うような繊維を何に使えばいいのか、何を作れば売れるのか、
さまざまな意見が出ました。
でも、クッションカバーやカーテンなどと考えてみても、立ちはだかるのは同じ壁だったんです。
「汚れがついたり、いろいろな色に染められないからダメだろう」と。
そうですよね。結局その問題は乗り越えられないですよね。


ところが、そこに一筋の光が見え始めます。
汚れを吸着しやすいんだから、それを活かせばいいし、デザイン性の高くないものならいいのではないか。
それって一体どんなものだろう?と考えて出たのが
「ふきんだ!」
という答えだったんです。
それまで欠点と思われていたことをメリットとしていかそう、と。
わー!!! 確かに、逆転の発想ですね!
これからの活路が見えてきました!
ここでちょっと下の資料を見てください。
はい、なになに?
「ミクロのゴミもキャッチします」とありますね。
主に眼鏡を拭くためのクリーナーとして販売されたものですが、
「あっちこっち®ふきん」のもととなった生地である
「テイジン®ハイレーク®」と似た生地なんです。
これもマイクロファイバーでできているので。
なるほど。
「繊細な粒子を拭き取るには最適」
「従来の綿織物でとれなかった指紋などの油汚れも、簡単にふき取れる」
とありますね。
これって、今の「あっちこっち®ふきん」の機能でもありますよね。
これが「あっちこっち®ふきん」に直接つながったわけではないのでしょうが、
やはりマイクロファイバー製の生地には
そういう機能があるということがわかりますね。
「テイジン®ハイレーク®」が販売されたのは、1977年ごろ。
そして、この「ミクロスター®」の販売は1985年なので、
8年経っているわけですが。
このミクロスターの後に、
「あっちこっち®ふきん」ができたわけですね。
すんなり商品として誕生したのか、この後のお話も気になります!